巻頭にある著名な書家・佐野東洲の題字は、「熈(かがやける)御代(みよ)の勝(すぐれ)れたる大江戸の景観を一覧する」という意味。 この絵巻は、江戸時代後期の文化2年(1805)頃の日本橋通りを描いた作品。 神田今川橋(現在の神田駅前付近)から日本橋までの中央通りを舞台に、当時の町の繁栄と人々の日常生活が詳しく描かれる。 絵師は不明。 題簽(だいせん)に「熈代勝覧 天」とあることから、「地」「人」などの別巻がある可能性がある。
熈代勝覧 題字 書家 佐野東洲 「熈代勝覧」(部分)© Staatliche Museen zu Berlin, Museum für Asiatische Kunst(ベルリン国立アジア美術館), former collection of Hans Joachim and Inge Küster, gift of Manfred Bohms 2002, photography: Tadao Kodaira